GBB研磨、バフ研磨、電解研磨、化学研磨の違いについて
真空業界ではGBB研磨,バフ研磨、電解研磨、化学研磨がよく使用されます。場合によっては電解複合研磨というものもあります。それぞれの研磨の特徴は以下の通りです。
GBB研磨 (Glass Bead Blasting):
GBB研磨は、表面を仕上げるための物理的な研磨手法であり、表面にガラスビーズなどの微粒子を高速で吹き付けることによって行われます。これにより、表面から汚れや酸化物を取り除くとともに、材料の表面を一様に仕上げることができます。
バフ研磨 (Buff Polishing):
バフ研磨は物理的な研磨手法で、研磨布や研磨紙を使用して表面を滑らかにし、光沢を出します。これは、特に金属部品の美観を重視する場合や、微細な表面粗さが求められる場合に使用されます。
バフ研磨は番手と呼ばれる番号があります。番手は、1インチ平方内に研磨材(砥粒)がどれだけついているかを表します。 #40~2000まであり、数字が小さいほど粒度が粗く、大きいほど粒度が細かくなります。真空業界では#400を使用することが多いです。
電解研磨 (Electrolytic Polishing):
電解研磨は化学的な研磨手法で、金属製品を仕上げるために使用されます。対象となる金属を電解液に浸し、その金属を陽極として電流を流すことにより、表面の微細な突起が溶け出して表面が滑らかになります。
化学研磨 (Chemical Polishing):
化学研磨は化学反応を利用した研磨手法で、表面に化学薬品を使用して微細な突起を溶かすことで表面を滑らかにします。このプロセスは金属の表面のみに影響を与え、金属の中心部には影響を与えません。化学研磨は、電解研磨とは異なり、電気を必要としないことが特徴です。また電解研磨に比べて、複雑な形状でも研磨しやすい特徴があります。
研磨の目的
真空環境では、表面処理によって微粒子やガスの残留を抑えることが重要となります。表面が粗いと表面積が増えて微粒子やガスなどが付着しやすくなります。研磨は、表面積をできるだけ減らすために行われます。
研磨手法の使い分け方
一般的には以下のように使い分けられることが多いですが、お客様がご使用される用途によって異なります。
低真空 (~10²Pa):GBB研磨
中真空 (~10⁻¹Pa):バフ研磨
高真空 (~10-⁵Pa):バフ研磨+電解研磨(化学研磨)
超高真空(~10⁻⁹Pa):バフ研磨+電解研磨(化学研磨)
極高真空(10⁻⁹Pa~):バフ研磨+電解研磨(化学研磨)
高真空であってもロータリーポンプの排気ラインに使う部品であればGBBで良い、というお客様もおられますし、低真空でも排気しづらい場所があるため排気効率を考えてバフ研磨や電解研磨を行うお客様もおられます。
研磨における注意点
GBB研磨では、高速で投射された研磨材が部品の表面と衝突することにより、微粒子は部品表面に物理的に固着することがあります。これらの微粒子は、単に洗浄液に浸すだけでは除去できない可能性があります。GBB研磨の製品が、中真空や高真空を目的とした箇所に使用されないのはそれが理由です。
バフ研磨は凹凸になっている凸の部分を上から潰しますが、凹部に対してはガスの逃げ場をなくしてしまいアウトガスの原因になる場合があります。ただこれは高真空・超高真空領域で問題になるケースが多く一般的なアプリケーションであればそれほど気にならないでしょう。
最後に
コスモ・テックではお客様に安定した成果を出していただくことを目標にしております。そのため弊社規格品は品質を重視し、削り出しまたはバフ研磨以上のものを多数ご用意しております。その他の表面処理についても、お客様のご予算、ご用途に応じて対応いたします。